台風が日本に連続して接近してくる関係で、天気がすっきりしない日が続いています。朝からきれいに晴れている日は、気温が上がるのが早く、薬局のグリーンカーテンの朝顔の花が、私が薬局に出勤するころにはしおれてしまうのですが、このような曇り空の日は、かわいく花を開いて出迎えてくれます。
さて、このたびは、これまでに何度もお話ししていますが、やっぱりよく聞かれる「物忘れと認知症の違い」についてお話ししたいと思います。
人は加齢に伴い記憶力の減退が起こります。私は子ども達とトランプの「神経衰弱(裏返しに無秩序に広げたトランプを2枚ずつめくり、同じ数字だったら自分の手元に置いて、その数が多ければ勝ちというゲーム)」をしても、かないません。それは私が認知症になったわけではなくて、記憶力が減退しているだけなのです。
物忘れは、約束の時間、ある物を置いた場所、行った場所など、そういった、物事の末端にあるものを忘れます。しかし、認知症は、約束したこと、出かけたこと、ある物があったこと、などの体験そのものが記憶から脱落します。
例えば、以下の質問をした場合。
「昨日、車に乗ってどこに出かけましたか?」
物忘れの時は、
「え~っと、どこだったかしら。確かに乗って出かけたわよね。どこだっけ?」
と、場所だけ忘れてしまい、その体験は覚えていますが、
認知症の場合、
「昨日は家にお客さんが来ていたから、どこにも出かけなかったわよ。」
などと、まったく別の物事と置き換わってしまっていたり、体験の記憶そのものが抜け落ちてしまっていることがあります。
よく、薬局では「あ、お薬手帳を忘れたわ。もう認知症よね。」といわれるのですが、それは物忘れです。ご心配なく。
認知症には妄想、幻覚・幻聴など精神疾患の症状を示す方もいらっしゃいます。周りの人は、その話を否定せず、「私には見えない(聞こえない)けれど、そうなのね。」と優しく接してあげてくださいね。
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物忘れと認知症
物忘れと認知症